Kindle 2 のユーザーインターフェース(その2)

川添 歩

2009年5月25日

「前」とはいったいどこのことか


Kidle 2 のボタン

前回指摘した、Kindle 2 のコントローラーの機能が明示的でないという問題のうち、特に左右に倒した時の機能が予測しにくいという問題は、「BACK」というボタンの存在によってさらに混乱が増しています。
Kindle に付けられている「PREV PAGE」と「BACK」というボタン、それにコントローラーを左に倒す操作はすべて「前」(「次」の逆)のイメージを持ちます。読書中において「PREV PAGE」は「前ページ」、「BACK」は前に見ていたページ(一覧に戻るなど)、そしてコントローラー左は「前の章」への移動、となるのですが、それぞれの「前」とはどこなのか、かなり意識して操作する必要があります。

意識しなければ操作しにくい理由の一つは、「前」「次」といった情報の順序を表すものに対し、その順序を示唆するような空間的な位置関係を、それぞれのボタンの配置が持っていないからです。

本体左側では「PREV PAGE」が「NEXT PAGE」の上に配置されていますが、右側ではその位置関係はくずれ、「HOME」が「NEXT PAGE」の上に、左側とまったく同じ形で配置されています。さらに右側の下には「MENU」と「BACK」が上下に配置され、その間に上下左右に操作できるコントローラーが配置されています。

「左が前(もどる)で、右が次(すすむ)」「上が前で下が次」「上が上位で下が下位」といったように、情報の関係を反映した配置になっていません。また、ボタンのグループごとに異なる関係(前と次、ホームと次、など)を持ちながら、どのボタングループも見た目が同じになっているため、ユーザーは見た目や配置から感覚的に判断して操作することはできず、ボタンのラベルをよく見て判断するか、完全に記憶しておく必要があります。

左側の「PREV PAGE」と右側の「HOME」が完全に線対称になっているのは美しいのですが、そのために混乱しやすいので、多少美しさは犠牲にしても「HOME」を多少離して独立させるか、せめてラベルを家のアイコン(Kindle 1ではアイコンでした)にすれば、見た目から意味の違いが読み取りやすくなったかと思います。

さらに、キーのいくつかは、状態によって機能が変化します。例えば「MENU」ボタンでメニューを表示した状態では、MENU、BACK、PREV PAGEのいずれかのボタンを押すとメニューを閉じます。しかしコントローラーの左右を押しても何も反応しません。一方、本の削除のメッセージに対する閉じる操作(キャンセル操作)は、BACKボタン、またはコントローラーの右です。

これらは直前の操作とは一応対応しているのですが、操作の方法やフィードバックがグラフィカルでないこともあって、ユーザーには振る舞いの変化ととらえられ、学習を妨げたり、ミスを誘発しやすくなったり、心理的な負担をかけたりする恐れがあると言えます。