デザイン・リサーチ

優れたデザインを生み出すためには優れた洞察が必要です。

 

デザインプロジェクトを成功させるためには、ユーザーとビジネスの双方についてよく理解する必要があります。ユーザーがあなたのサービス・プロダクトとどのように接し、どのように感じ、どのように振る舞うのか。現行のデザインにおける潜在的な問題は何か。アンケート調査やログ解析では知ることができないそれらの事柄を、ユーザー観察&インタビュー調査や、ユーザーモデリング、ユーザビリティテスト、人間中心設計専門家の知見などから分析し、デザインチームをインスパイアします。

観察&インタビューユーザーを理解するとはユーザーがどう理解しているかを理解すること。

ユーザーとそのドメインを理解する上でまず行うべきは、ユーザーの観察やインタビューによる調査です。ソシオメディアのコンサルタントが、現行システムもしくは類似システムの利用現場に行くなどして、エンドユーザーが実際にサービス/プロダクトを利用している様子を観察します。またその場で文脈的なインタビューを行います。

観察&インタビューで重視するのは、ユーザーの意見ではなく、ユーザーの行動パターンや概念モデルです。例えば、「あなたの仕事は事業全体の中でどのような役割を持っていますか」「あなたがこのアプリケーションで行っている操作の順序とその意味を教えてください。」といった問いかけをして、その回答や作業に耳と目をかたむけます。そして小さな疑問に対して更に「ここでマウスではなくキーボードを使うのはなぜですか?」といった問いかけを繰り返していきます。

そのような観察&インタビューの結果から、ユーザー自身も気づいていないような行動モデルや潜在的なニーズ、パーソナルなゴール、業務に対する概念モデルや認知的なバイアスを抽出していきます。

ユーザーモデリングユーザー像の共有がデザインチームをひとつにする。

サービス/プロダクトの合目的性を高めるためには、それが誰のためのものであり、何の役に立つものなのかを明確に想定した上でデザインする必要があります。あらゆる人のあらゆる役に立つものを作ろうとすれば、それは誰の何の役にも立たないものになってしまうでしょう。

ターゲットユーザー像を適切にモデリングするためには、実ユーザーから得た様々な情報をインプットにします。例えば、アクセスログ、カスタマーサポートへの問い合わせログ、市場調査からの統計データ、観察&インタビュー調査からの定性データ、顧客対応担当者の経験則などです。それらを分析してユーザー像をセグメント化しますが、その際、年齢や性別といったデータはデザインプロセスにおいてはそれほど重要ではありません。そのサービス/プロダクトが与える、生活や仕事における意義、デジタルデザインに対する親しみ度合い、利用コンテクスト上の近似点などを手がかりにします。

ユーザー像を定めたら、それをもとに、ペルソナやエクスペリエンスマップを作成し、これから作成するサービスプロダクトの価値がユーザーコンテクストとどのように適合すべきかを分析検討していきます。ユーザー像を共有することは、デザインチームが同じ目的地に向かってひとつになることを意味しているのです。

ビジネスドメイン分析本質的なデザインのために仕事の本質に向き合う。

サービス/プロダクトの新規企画や既存システムの改善を行う上では、その利用コンテクストと、それらを取り巻くドメイン(ユーザーの活動領域)をデジタルデザインの視点から分析する必要があります。ユーザーのメンタルモデルや、業務に含まれる情報モデルの中に、どのような概念が存在しているかを調べ、それらが互いにどのような関係にあるのかを把握していきます。

ユーザーの観察やインタビュー、担当者や管理者からのヒアリング、既存システムや競合製品の構成、業界の慣習などから、業務やサービス利用の内容(事業に対する位置付け、機能的な役割、ワークフロー、入出力される情報など)を抽出します。そこから、現行の業務モデルや業界のデファクトが抱えている不合理性を発見し、本来あるべきシステム像を発想していきます。

特に、紙の帳票を中心にワークフローが構築されてきた業務においては、デジタル化のレベルが「紙を画面に置き換えた」だけに留まっている場合が多く、データの投入を手作業に頼っていたり、情報の視認性や作業の効率がかえって後退するなど、派生的な課題が多く発生しています。デザインによるデジタルトランスフォーメーションとは、それらを改めてデジタルネイティブの視点で再考し、新しいワークモデルを作り出すことなのです。

エクスパートレビューデザイン経験則に照らしたユーザビリティ評価。

現行サービス/プロダクトのユーザビリティをすばやくリーズナブルに評価する方法がエクスパートレビューです。数々のデザイン原則やデザインパターン、各業界における典型的な制約事項などを熟知したソシオメディアの人間中心設計専門家が現行サービス/プロダクトを検証し、デザイン上の問題点をレポートします。

ソシオメディアのエクスパートレビューでは、独自に策定したヒューリスティック項目(検証ポイントとなる経験則)を基準にしながら、操作フローやインターフェース要素の振る舞い、レイアウトやラベリングなどの問題を発見します。また対象サービス/プロダクトの性質と評価の目的に応じて、タスク単位、機能グループ単位、ユースケース単位、画面グループ単位、といった柔軟な観点からユーザビリティを検証し、問題点をレポートします。

ソシオメディアが指摘するデザイン問題は、杓子定規に原則論を振りかざすものでも、細部の表層的なミスについて重箱の隅をつつくものでもありません。サービス/プロダクトの基本的な構成方法やユーザーに要求している概念モデル、操作フローの全体的な合理性や表現の一貫性など、企画/設計/実装上の本質的な課題に着目します。同時に、各指摘事項について改善の方向性を検討し、合わせてご提案します。エクスパートレビューのレポート内容は、そのまま改善プロジェクトに向けた要件定義となるのです。

参考: エクスパートレビュー

ユーザビリティテストユーザーをテストするのではなく、デザインをテストする。

ユーザー中心設計プロセスの要となる取り組みがユーザビリティテストです。ターゲットユーザーが実際に評価対象のサービス/プロダクトを利用する場面を観察することで、ユーザーが直面する問題点を具体的に発見します。対象とするドメインの性質やプロジェクトの状況に応じて、専門家がテスト設計および進行を行います。

テストには、各ターゲットグループについて5〜10人程度のユーザーに参加を募ります。参加者はそれぞれ用意されたテスト課題を行い、それを専門家が隣で観察しながら記録をとります。得られた調査記録は、専門家が整理・分析してレポートにまとめます。

通常、設備としては本格的な実験室を思わせるラボは使用せず、最小限の機材(スクリーン録画装置、ビデオカメラ、マイク)で行います。一般的な会議室さえ用意していただければ出張テストが可能ですので、特定の環境からしか利用できない試験稼働中の基幹システムや、専門業務用アプリケーションなどについてオンサイトでのテストも可能です。

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