「OOUIデザイン入門」セミナーレポート

藤井 幸多
2026年4月17日

2026年4月6日にソシオメディアはオンラインセミナー「OOUIデザイン入門」を開催しました

本セミナーは、ソフトウェアのデザイン原則の中でも特に重要な「OOUI(オブジェクト指向ユーザーインターフェース)」について解説するものです。

「OOUIという言葉は知っているけれどその利点やデザイン手法についてはまだよく知らない」という方や、「OOUIの本は読んだけれど自分の理解が合っているのか確認したい」という方に向けた入門編です。書籍『オブジェクト指向UIデザイン』で紹介した内容に加え、企業向けのデザイントレーニングでよく質問される点についても補足しました。

また、OOUIを理解しているつもりの方でも、「オブジェクトの一覧と詳細を作るだけの単純な手法」として捉えてしまうこともあります。そのため、今回は目当てを具体化する際の注意点や、ケーススタディを通して改善案のアイデアの根幹にある考え方を示し、OOUIの応用の仕方や判断のポイントを紹介しました。

OOUIの概要

「OOUIの概要」の様子

OOUIの概要からスタートです。基本となる原則をそれぞれ具体例とともに解説しました。続いてオブジェクト指向UIとタスク指向UIの比較では、タスク指向UIの例として挙げているATMのデザインをオブジェクト指向UIに改善した場合と対比。OOUIの原則と照らし合わせつつATMで課題となっている点について詳しく解説しました。

続けて「普段使っているアプリがタスク指向UIになったらどうなるか」をモバイルアプリケーション、デスクトップアプリケーション、ウェブアプリケーションなどで例示し、同じような機能であってもデザイン次第で出来上がるものが大きく異なることを解説しました。

また、別のジャンルとして認識されてしまいがちな一般的なアプリとタスク指向で作られることも多い業務システムの間に、ソフトウェアデザイン上の共通点があることを改めて確認しました。

その後は、タスク指向UIにつながる注意すべきコンピュータ観について。デザイナーが持つコンピュータ観はできあがる形に大きな影響を与えている一方で、暗黙的になっていることもあります。ここでは改めて複数のコンピュータ観を挙げ、どういった場合にタスク指向UIになってしまうのか解説しました。

そのほかにもタスク指向UIになってしまう要因について複数挙げ、デザインプロセスやデザインマネジメントの観点での注意点も解説しました。

「OOUIの概要」の様子

そして、OOUIはデザイン手法のトレンドではなくGUIの原理であることを適切に理解するために、UIの歴史を振り返りました。初期のディスプレイ、対象の表示とそれを操作するための様々なデバイスの開発、アラン・ケイやラリー・テスラーらの取り組みと私達が現在使用している道具とのつながりを紹介しました。

デザインする際の考え方

「デザインする際の考え方」の様子

概要の次はOOUIをデザインする際の考え方です。ソフトウェアデザインのレイヤーについて紹介し、その後モデル、インタラクション、プレゼンテーションと各レイヤーごとに解説。

モデルの解説では、第1段階としてタスクからオブジェクトを定義する形式でポイントを説明しました。続けて第2段階として、タスクそのものが明確にない状態からオブジェクトを考えるためのポイントを解説しました。

また、オブジェクトを名詞や目的語のように単に品詞や語の種類として捉えるだけではなく、「目当て」として考えることの重要性についても解説しました。ナビゲーションに名詞が並んでいて一見OOUIのように見えるデザインを例示し課題を指摘。目当てが見えるように改善したデザインと比較し、それぞれで定義されているオブジェクトの違いを解説しました。

「デザインする際の考え方」の様子

続いてインタラクション、プレゼンテーションについて解説。歪な構造になっている動画配信サービスを例に、モデルとプレゼンテーションを適切につなげるための考え方を解説しました。

ケーススタディ

「ケーススタディ」の様子

最後はケーススタディでアイデアがどのように形作られるかを紹介しました。

はじめに小規模店舗向けアプリを題材に、タスクからプレゼンテーションまでデザインされる過程を詳細に解説。モデルを考えなおす様子や、モデルを作っている時にもプレゼンテーションを想定しながら進めている点も含め、各過程でどういった点を考えながら進めるか、どの程度モデルで詳細化するのかなどを解説しました。

実際のデザインでは、モデルからプレゼンテーションまでを同時に考えることが重要であるため、モデル、インタラクション、プレゼンテーションを1つのセットにして抽象化したパターンを見ながらそれぞれのポイントを解説しました。

「ケーススタディ」の様子

続いて、既存のデザインからオブジェクトを作るケースの紹介。
1つめは学習時間管理アプリケーション。明確にタスクとして言語化されていない状態からオブジェクトを作りデザインしなおす例を紹介しました。
2つめはアップデートごとに複雑化する小売りシステム。OOUIの考え方を用いた改善案では案を重ねるごとに逆にシンプルになる点を紹介。両者の違いや、背景にあるアイデアがブラッシュアップされていく様子をモデルとともに解説しました。

質疑応答

質疑応答では、確定申告のようなシステムの扱い、動詞の中に含まれるオブジェクト、「検索」や「設定」の扱い方、オブジェクトが多くなることについて、改善する場合どこから着手すべきか、プロパティの構造化、手続きの対象化、ソフトウェアデザインを学ぶためのリソース、生成ツールのオブジェクトなど参加者の方々から興味深い質問が多く寄せられました。