「ソシオメディア・フォーラム 2003年10月 成功するウェブサイトの情報整理術」

フォーラム風景の写真:約150名の来場者で満員の会場。

去る2003年10月3日、東京都港区の TEPIA ホールにおいて、ソシオメディア・フォーラム 2003年10月「成功するウェブサイトの情報整理術:インフォメーション・アーキテクチャの視点」が開催されました。

フォーラムの概要

インフォメーション・アーキテクチャの世界的第一人者であり『Web 情報アーキテクチャ』の共著者ルイス・ローゼンフェルド氏をゲストスピーカーとしてお迎えし、また日本を代表するインフォメーション・アーキテクトの方々をパネリストに迎えて、インフォメーション・アーキテクチャとは何か、なぜ重要か、どのように取り組めばよいのかといったテーマで開催されました。

ルイス・ローゼンフェルド氏 プロフィール

ウェブにおける情報アーキテクチャ(インフォメーション・アーキテクチャ)の伝道師。
1990年に業界リーダーであった Argus Associates 社を共同設立し、1993年から2001年まで社長を務める。
1998年『情報アーキテクチャ入門』を執筆、インターネット関連書籍のベストセラーとなる。2002年、第2版を執筆、日本では『”Web 情報アーキテクチャ 第2版“』のタイトルで2003年8月に発売。
現在はコンサルタントとしてFord, Hewlett-Packard など大企業ウェブサイトの情報アーキテクチャの戦略策定や企業内情報アーキテクチャ専門家の育成に力を注いでいる。
http://louisrosenfeld.com/

第一部 ルイス・ローゼンフェルド氏講演「インフォメーション・アーキテクチャとは」

フォーラム風景の写真:壇上で講演するローゼンフェルド氏

プレゼンター:ルイス・ローゼンフェルド氏

  • インフォメーション・アーキテクチャの世界を簡略化して示す3つの要素
    ユーザー動向(Users)特定のビジネス・コンテキスト(Context)ユーザーの欲しいものとしてのコンテンツ(Content)の3つの重なる中心にインフォメーション・アーキテクチャは位置する。インフォメーション・アーキテクチャはユーザーとコンテンツを特定のビジネス・コンテキストの中でマッチさせるものである。
  • 良いインフォメーション・アーキテクチャは目に見えない
    良いインフォメーション・アーキテクチャは目に見えず、成功すればする程、ユーザーはその存在に気付かない。選択的にユーザーを導き、ユーザーがもっとも必要としている限られた重要コンテンツに集中してコストをかける必要がある。
  • 誰がどうやってインフォメーション・アーキテクチャを実践するのか
    既に確立されている、様々な既存テクニックや既存分野からスキルセットを探し、「Users」「Context」「Content」の上にバランスを持って構築する。
  • インフォメーション・アーキテクチャの基本法則
    ウェブ初期にはトップダウンの視点しか存在しなかったが「コンテンツマネージメント」「ユーザーマネージメント」等の言葉があるように、現在は多大なコンテンツからユーザーが情報をいかに見つけるか?というボトムアップの視点が重要となっている。時と場所によってユーザーニーズは変化するが、情報ニーズを把握しインフォメーション・アーキテクチャで明確化することが最も重要である。
  • インフォメーション・アーキテクチャを学ぶには以下のサイトが役立つ

第二部 「日本のウェブサイトのインフォメーション・アーキテクチャの傾向」

フォーラム風景の写真:壇上で講演する上野

プレゼンター:上野 学(ソシオメディア株式会社)

  • 現在のウェブサイトをめぐる状況
    大規模サイト内では、サブサイトの統合やセクションの分割といったリストラが行われている。
  • Clinic とインフォメーションアーキテクチャコンサルティングの紹介
    ソシオメディアでは、インフォメーションアーキテクチャに関するサービスとして、”Private: Clinic(ウェブサイト評価)“および個別コンサルティングを行っている。
  • これまでの実績からみたインフォメーションアーキテクチャの問題点
    過去の案件を振り返ると、日本の大規模ウェブサイトにおいては以下のような問題が多い。

    • サイト全体と閲覧中のページとの関係が明確になっていない。
    • 1ページ内に複数のメニューがある場合に、それぞれの役割が明確になっていない。
    • ひとつの機能やコンテンツに対して、常に同じ名称が用いられていない。
  • 基本的なIAのチェック方法
    • 1ページ中に同じラベルでリンク先の異なるリンクが存在していないか、といったチェックをする。
    • サイトの下位階層にある1ページをピックアップし、ホームからそこにたどり着けるかどうかを簡易ユーザーテストで検証する。
    • 日本語を扱う検索機能では、漢字/ひらがな/カタカナ表記への対応(例:珈琲、コーヒー)、音引きの有無への対応(例:サーバ、サーバー)、全角英数字と1 バイト英数字への対応(例:CD-ROM、CD-ROM)、外来語の仮名表記の違いへの対応(例:エキスポ、エクスポ)が求められる。

第三部 パネルディスカッション「企業担当者が持つべきインフォメーション・アーキテクチャの視点」(抜粋)

フォーラム風景の写真:ディスカッションするパネリストの面々

パネリスト(50音順):岩佐浩徳氏(株式会社リクルート)、佐藤伸哉氏(株式会社ビジネス・アーキテクツ)、長谷川敦士氏(株式会社コンセント)、ルイス・ローゼンフェルド氏
進行:篠原稔和(ソシオメディア株式会社)

  • インフォメーション・アーキテクチャの定義は?
    • 情報提供の枠組みの新しい形を創ること。
    • 複雑な事を簡単にすること。
    • 社内の各部門が運営するサイト群を俯瞰して調整する役割が求められている。
    • インフォメーション・アーキテクチャを説明する時は「誰に向かって話しをしているか?」という所で臨機応変に言葉と表現を選び変化させることが重要。またインフォメーション・アーキテクチャという概念をつくる人たちの定義は多様であるため、様々な考え方を受け入れ議論することが大切。
  • 企業の中のインフォメーション・アーキテクト(インフォメーション・アーキテクチャを担当する人)について
    • 企業の中にインフォメーション・アーキテクトがいる(インハウスコンサルタント)というケースがアメリカで増えている。
    • 新しいアプリケーションを導入し調整を試みるよりも、社内にインフォメーション・アーキテクトを持つ事の方がコストをおさえられる場合が多い。
    • インフォメーション・アーキテクトの業務は、社内の既存の枠にはまらないことが多い。そのため場合によっては新たな組織を作っていくことも考えるべき。
    • 同時に第三者的な視点をもった外部コンサルタントの必要性も高い。より高度なソリューションの提案や、社内インフォメーション・アーキテクトの教育といった役割がある。

会場との質疑応答

フォーラム風景の写真:会場からの質問に答えるローゼンフェルド氏

  • 質問:縦割りの会社を相手に、どのようにインフォメーション・アーキテクチャを実現し、クライアントに説得してきたのか?
  • ローゼンフェルド氏の回答:とても難しい問題だが、まず着手した早期の段階で、それほどコストをかけなくても出来る事が色々とある。「アシロマ情報アーキテクチャ研究所」の日本語サイトにその概念を図式化した「EIA(企業インフォメーション・アーキテクチャ)ロードマップ」を PDF ファイルで用意してあるので、参考にしてほしい。
  • 質問:検索結果の表示方法はどのようなものがよいのか?
  • ローゼンフェルド氏の回答:企業ニーズに沿った検索結果の表示を検討することが大切。検索ログを参考にしてニーズの高い項目を上位に表示したり、クエリーを自動的に最適化するといった方法が考えられる。

プレス紹介記事

謝辞

当フォーラムの開催にあたり、後援をいただきました株式会社オライリー・ジャパン、富士通アプリコ株式会社、株式会社エムディエヌコーポレーション、また協賛をいただきました Web Designing、サンブリッジグループ、月刊コンピュートピア、アットマーク・アイティ、株式会社クリーク・アンド・リバー社 PEC、web creators、Web Site Design、日経デザイン、そして約150名にのぼるご来場者の皆様に、改めて深く御礼申し上げます。

今後とも「ソシオメディア・フォーラム」を宜しくお願いいたします。