UX専門家にとって価値のある5つのスキル

ジェフ サウロ
2015年9月24日
原文: 5 Valuable Skills For UX Professionals [2012/5/9](翻訳: ソシオメディア株式会社)

UX専門家の経歴、学歴、スキルは多岐に渡っています。

UXにおけるあなたの立ち位置がリサーチ寄りかデザイン寄りかにかかわらず、あなたの価値をさらに高め、より効果的に仕事をするための5つのスキルをご紹介しましょう。

1. コーディング

そう、あなたは開発者ではありません。おそらくコンピューターサイエンスの学位はなく、ソフトウェアエンジニアになるつもりもないでしょう。

それでも、PHP や Visual Basic などの言語でシンプルな機能をプログラミングする方法を知っておくだけで、UX専門家としてのあなたの価値が高まる理由が少なくとも3つあるのです:

  1. ユーザビリティの問題点やデザインのアイデアを伝える開発者に、より親身になることができる。
  2. (技術的制限を理解した上で)よりよい解決策を考え出すことができる。
  3. 実際に動くプロトタイプを作り、インターフェースをテストできる。HTML や CSS、Web サーバーの知識が少しあれば、忠実度の高いプロトタイプを用意できます。Photoshop ファイルを、一部のインタラクション(ロールオーバー、ボタン、リンク)が機能するWeb ページに変えられれば、より優れたデザイナーと言えるでしょう。

    確かに、あなたより速くもっと良いコードを書けるフロントエンドの開発者はいるでしょう。でもきっと、アジャイル開発のタイムラインで進めなければならない実サイトやソフトウェアの作業で手一杯です。プロトタイプをおおむね完成させられる素晴らしいプロトタイピングツールもありますが、どれも限界があります。コーディングの方法を知っていることは必須ではありませんが、知っていれば間違いなくあなたの価値は高まるでしょう。

2. デザイン

あなたはアーティストでもなければ、有名なデザインスクールを卒業したわけでもないかもしれません。でも、レイアウト作業ができたり、タイポグラフィ、スペーシング、シンメトリー、インターフェースにおける構成要素の階層について理解を進めるのに、肩書きが「デザイナー」である必要はないのです。

デザインを見る目があれば、デザイナーやデザイン時の制約をより理解でき、問題を診断する際により良い解決策を提案できるでしょう。加えて、あなた自身のプレゼンやレポート、モックアップをよりプロフェッショナルなものに仕上げられるようになるかもしれません。UX あるいはユーザビリティの分野に詳しくない人たちは、UXに携わる人が作ったものならとにかく使いやすく、魅力的かつ機能的だろうという期待をもってあなたのところへ来るでしょう。たとえそれが厳密には「あなたによる仕事」でなくても。

3. 販売

「販売」と聞くと、中古車のセールスマンや、映画「摩天楼を夢みて」のアレック・ボールドウィン(訳注:不動産会社の本社幹部役。成績不振のセールスマンを罵倒する)を思い浮かべるでしょうか。製品開発をしている人なら、製品を売る仕事など自分の業務とはほとんど無関係だと思うかもしれません。でも、あなたのアイデアやデザインを「売る」スキルは必要です。

販売業務につくとすぐに気付くことですが、人が買いたい製品を売るのは、誰も欲しがらない製品を売るよりも、ずっと簡単です。顧客が何を求め、必要としているかを知ることと、ユーザーのゴールや問題を知り、それをインターフェースデザインに適用することには共通するところがあります。実際に販売を担当しないにしても、そういった販売スキルの重要性を認識し、仕事に取り入れていくことは、あなたの価値を高めるでしょう(そして、もしかすると売上2位のセールスマンに与えられる賞品、ステーキナイフ・セットも手に入るかもしれません!訳注:「摩天楼を夢みて」のエピソード)。

4. 経験的方法

「より良い決定を行うにはデータを得ることが重要」――このことを理解するために、何も実験心理学者になって服従実験で被験者に電気ショックを与えるようなことをする必要はありません。証拠にもとづいたデザインは、UXを測定することから生まれます。変数をコントロールすること、事象をランダム化すること、曖昧なビジネスゴール(例えば「直観的でなければならない」など)をオペレーション化して計測可能な仮説に落とし込んでいくことの重要性を理解できれば、ある程度、より良いデザインを見分けられるようになるでしょう。

メトリクスを用いて仮説を測定したり、テストするようになると、統計にもとづいて決定や判断を下したくなるものです。拙著『Quantifying the User Experience』や『Companion Book』を手始めにしてください。Excel calculatorやRを使ったすべての統計テストについて、その手順を段階的に説明しています。映像の方が学びやすいという方には、本の最初の5章を網羅する2.5時間のビデオチュートリアルもあります。

5. コミュニケーションと共感

このふたつのスキルは、どんな仕事においても(さらに言えば人生においても)役立つスキルでしょう。UXをデザインしたり、測定したり、管理したりするには、ユーザーのゴールや抱えている問題を把握している必要があります。ユーザビリティテストを行う際、優秀なファシリテーターは性格の異なる様々な人たちと信頼関係を築き、適切な言葉と共感をもって、ユーザー自身ではうまく表現できないような本質的な洞察を引き出すことができます。

コミュニケーション力と共感力は、簡単には身につけられない、また、向上させるのが難しいスキルと言えるでしょう。簡潔かつ説得力のある話し方をし、同僚や顧客、競争相手の視点を理解できるなら、それはあなたの価値をさらに高めることでしょう。

最も価値のあるスキルはしばしば、その仕事に就くための必須条件ではないことがあります。新しいスキルを学んだり、すでに持っているスキルを磨いたりする時間は作れるはずです。もしかしたら雇い主がその費用をカバーしてくれるかもしれません。また、lynda.comのようなサイトでは安い料金で質の高いトレーニングビデオを提供しています。

あなたが上記のスキルのうちひとつかふたつでも身につけることができれば、UXの仕事に就けるでしょう。

3つも4つもスキルを身につけていれば、仕事は安泰、カンファレンスで講義したり、UXを人に教えているはずです。

これら5つのすべてのスキルを習得できれば、会社経営は順調、UXの第一人者かUX界の有名人、あるいはこれらすべてが当てはまっているかもしれません。あなたの秘訣は?



Jeff Sauro

ジェフ・サウロはシックス・シグマに精通した統計アナリストであり、ユーザー・エクスペリエンスの定量化における第一人者である。彼は統計的なデータを理解させ、そしてアクション実行へと導く専門家。そしてアメリカコロラド州デンバーにある、UXリサーチ会社 MeasuringU(MeasuringU.com)の設立者である。 MeasuringU の設立以前は、Oracle、PeopleSoft、Intuit、そして General Electric で働いてきた。
ジェフはこれまで20以上の専門家のレビューを受けたリサーチ記事、そして5冊の統計とユーザー・エクスペリエンスに関わる書籍を発表している。スタンフォード大学にてラーニングとデザイン・テクノロジーの修士を取得。またデンバー大学にてリサーチメソッドと統計学の博士を取得している。

ソシオメディア UX戦略フォーラム 2015 Fall ゲストスピーカー。