複雑性保存の法則

Tesler’s Law of Conservation of Complexity

タスクの複雑性はある点を超えて減らすことはできない。移動のみ可能である。

インターフェース設計における普遍的な法則。アプリケーションを操作してあるタスクを行う上では、目的達成のためにシステムに対してインプットされなければならない必要最低限の情報がある。この情報量は、システムの合目的性を確保するためにそれ以上減らすことができない。しかしインプットに関するコストの一部をユーザーの側からシステムの側に移行することで、ユーザーはより少ない労力で目的を達成できるようになる。

例えばユーザーがスケジュール管理システムで自分の今日の予定を検索して調べたい場合、求められたデータをDBから取り出すためにシステムは「ユーザーID」と「今日の日付」という情報を必要とする。この複雑性を減らすことはできないが、下記のような方法でシステムがユーザーの意思決定あるいは入力操作を補助し、操作効率を高めることができる。

  • A. 検索条件の入力時に内容を自動補完/候補提示する。
  • B. 検索条件はテキストボックスではなくドロップダウンメニューや日付ピッカーなどを用い、有効な値のみを選択的に選べるようにする。
  • C. 検索条件の値として、ユーザーIDと今日の日付を自動的に入力しておく。
  • D. ユーザーのログイン情報を保持しておき、画面の初期状態として今日の予定が自動的に表示されるようにしておく。

Dの場合、ユーザーは何もしなくても目的を達成できるため、複雑性のほぼすべてがユーザー側からシステム側に移行したことになる。ただしこの振る舞いがユーザーグループ内のマジョリティに対して有効でない場合にはかえってユーザビリティを低下させる恐れがある。

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