W3C/WAI「ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン 1.0」
障害のある人でも利用できるコンテンツは、アクセシブルであるといえる。
ウェブページに挿入されたプログラムのこと。
障害のある人が日常生活で行うさまざまな活動を支援するために、特別に設計されたソフトやハード。支援技術には、車椅子や文章を読みあげる機器、物をつかむための機器などがある。ウェブ・アクセシビリティの領域におけるソフト関連の支援技術では、スクリーン・リーダー、スクリーン拡大機能、人工発声シンセサイザー、グラフィカル・デスクトップ・ブラウザと連動する音声入力ソフトなどが一般的だ。ハード関連の支援技術には、代替キーボード、ポインティング・デバイスなどがある。
テキスト文字や記号を組み合わせて作成したイメージのこと。たとえば、";-)"は、嬉しさといった感情や笑顔を表現している。ASCIIアートを使った下の図は、目を開けている状態と閉じている状態における、光の明滅頻度と光感受性発作の関係を示している。
% __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __
100 | * |
90 | * * |
80 | * * |
70 | @ * |
60 | @ * |
50 | * @ * |
40 | @ * |
30 | * @ @ @ * |
20 | |
10 | @ @ @ @ @ |
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70
明滅の周波数(ヘルツ)
HTMLエディタ、ドキュメント変換ツール、データベースからウェブ・コンテンツを生成するツールなどはすべて、オーサリング・ツールと言える。アクセシブルなツールの開発状況についての詳細は、オーサリング・ツール・アクセシビリティ・ガイドライン(http://www.w3.org/TR/WAI-AUTOOLS/)を参照してほしい。
旧バージョンの言語やプログラムでも動作するデザイン設計のこと。
突起した6つの点(ドット)を使って異なるパターンを描き出し、文字や数字を表現するもの。目の見えない人は、指先を使ってこれを読み取る。
点字表示機は、一般に「ダイナミック点字表示機」と呼ばれ、コンピュータなどの電子機器から送信されたコマンドに従って、ドット・パターンを上げ下げし、次々と変化する点字を1行に表示していく。現在の点字表示機では、1文字を表すセルは6個または8個のドットで構成され、機種によって1行につき1〜80セルまで表示できる。1行につき12〜20セルを表示できる機種が一般的だ。
ウェブページの作成やウェブサイトの設計に携わる人。
非推奨の要素や属性とは、新しい構造が出現したため、時代遅れになってしまったものを指す。非推奨の要素は、将来のHTMLバージョンでは破棄される可能性がある。HTML 4.0における非推奨の要素と属性については、テクニック・マニュアル(ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン1.0のテクニック・マニュアル、http://www.w3.org/TR/WAI-WEBCONTENT-TECHS/)にある、HTML要素と属性に関する索引のなかで示している。
コンテンツ開発者は、非推奨の要素や属性の使用を避けるべきだ。一方、ユーザ・エージェントは、後方互換性を保つために、非推奨の要素や属性のサポートを続けるべきだ。
どのような種類の出入力機器を使っていても、ユーザ・エージェントおよび、ユーザ・エージェントによって変換されたドキュメントを、ユーザが利用できるようにしなければならない。入力機器には、ポインティング・デバイス、キーボード、点字機器、頭に装着するポインティング・デバイス、マイクロフォンなどがある。出力機器には、モニター、人工発声シンセサイザー、点字表示機などがある。
「デバイス・インディペンデントをサポートする」といっても、ユーザ・エージェントがすべての出入力機器をサポートしなければならない、という意味ではないことに注意してほしい。ユーザ・エージェントは、サポートするデバイスに対して、多様な出入力のメカニズムを提供すべきだ。たとえば、キーボードとマウスによる入力をサポートしているなら、ユーザがキーボードとマウスのどちらを使用していても、すべての機能を利用できるようにするべきだ。
ドキュメントのコンテンツとは、言葉やイメージ、サウンド、ムービー、アニメーションなどを使って、ユーザに伝える内容を指す。ドキュメントの構造とは、ドキュメントの論理的な組み立てを指す。章ごとにに分ける、序文や目次を付ける、などがこれにあたる。構造を指定する要素を構造要素と呼び、HTMLでは、P、STRONG、BLOCKQUOTEなどがこれにあたる。プレゼンテーションとは、ドキュメントの表現方法を指す。ドキュメントのプレゼンテーションには、印刷物、2次元グラフィック、文字による表現、人工音声、点字などがある。プレゼンテーションを指定する要素をプレゼンテーション要素と呼び、HTMLでは、B、FONT、CENTERなどがこれにあたる。
たとえば、ドキュメントのヘッダについて考えてみよう。ヘッダのコンテンツとは、ヘッダに含まれた内容のことだ。仮に「ヨット」としておこう。ヘッダは、HTMLでは、H2要素などによってマークアップされた構造要素となる。ヘッダのプレゼンテーションとしては、マージンを付けた太字のブロック体を使う、テキストをセンタリングする、タイトルをオーラル・フォントなどのボイス・スタイルで指定する、などが考えられる。
HTML、スタイルシート、DOM(ドキュメント・オブジェクト・モデル、参照:ドキュメント・オブジェクト・モデル・レベル1に関する仕様、http://www.w3.org/TR/REC-DOM-Level-1)、スクリプトなどの標準技術を複合したものを指すマーケティング用語。ただし、W3C仕様のなかで、DHTMLを正式に定義したものはない。ガイドラインのほとんどは、DHTMLを使ったアプリケーションにも適用できるはずだが、以下に示す各章では、スクリプトやスタイルシートに関連する事項を重点的に述べているので参照してほしい。ガイドライン1、ガイドライン3、ガイドライン6、ガイドライン7、ガイドライン9。
このドキュメントでは、要素という用語を次の3つの意味で使っている。(1)SGMLにおける厳密な意味として、構文上の構造を示す場合。(2)より一般的な意味として、ビデオやサウンドといったコンテンツ・タイプを指す場合。(3)ヘッダやリストといった論理構造を指す場合。このガイドラインは、HTMLを意識して作成されているが、要素の定義として2つ目に挙げた、コンテンツ・タイプを指す意味合いを持たせたことにより、異なるマークアップ言語を用いた場合にも容易に適用できるよう配慮されている。
要素(とくにSGMLにおける要素)のなかには、次のような種類があることに注意してほしい。コンテンツそのものが出力されるもの(HTMLのP、LI、TABLE要素など)、外部コンテンツに置き換えられるもの(IMG要素など)、処理に影響を与えるもの(情報をスタイルシートやスクリプト・エンジンで処理するためのSTYLE、SCRIPT要素など)。また、テキスト文字をドキュメントの一部にする要素は、テキスト要素と呼ばれている。
あるコンテンツが、別のコンテンツと本質的に同じ機能や役割をユーザに提供している場合、「代替」であると言える。このガイドラインで使われている代替という表現は、障害のない人がコンテンツを利用したときに得られるものと本質的に同じ機能や役割を、障害のある人にも提供できる場合を指している(少なくとも、障害の性質や現状のテクノロジーにおいて可能な範囲で)。たとえば、「満月」というテキストと満月を表すイメージは、どちらも同じ情報をユーザに伝えることになるだろう。ただし、同じ機能を満たすという点が、代替情報にとって重要であることに注意してほしい。もし、イメージがリンクの一部として使われていて、リンク先の内容を推測するためにイメージの意味を理解することが重要であるなら、代替情報でもリンク先の内容について触れる必要がある。アクセス不可能なコンテンツの代替情報を提供することは、障害のある人のアクセシビリティ向上のために、コンテンツ開発者が取るべき基本的な方法の1つだ。
代替情報の一例としては、オリジナルのコンテンツがどのように見えるか、どのように聞こえるかといった内容説明を付ける、などが考えられる。複雑なチャートで示された情報をユーザに理解してもらうには、チャートのビジュアル情報についても説明すべきだ。
テキスト・コンテンツは、人工音声、点字、表示テキストとしてユーザに提示できる。そのため、このガイドラインでは、グラフィックやオーディオ情報には代替テキストを提供するよう要請している。代替テキストには、コンテンツの本質的な情報をすべて記述しなければならない。非テキスト系の代替形式としては、ビジュアル表現に対するオーディオ記述や、文字で記述された情報に対する手話通訳のビデオなどがある。これらの代替情報も、目の見えない人、知覚障害や学習障害のある人、耳の聞こえない人など、ビジュアル情報や記述テキストにアクセスできない多くのユーザのアクセシビリティを向上させる。
代替情報を提供するには、さまざまな方法がある。属性を通して(HTMLやSMILでは、alt属性のテキスト値)、要素コンテンツの一部として(HTMLではOBJECT要素)、ドキュメント内の文章として、リンクさせたドキュメントとして(HTMLでは、longdesc属性や記述リンク)などだ。代替形式の複雑さによっては、複数のテクニックを組み合わせる必要がある。たとえば、サイトになじみのあるユーザには、alt属性を使って省略語の代替情報を提供すればいいが、サイトを初めて訪れるユーザには、longdesc属性使って詳細を説明したリンク先を設けたほうが分かりやすい。代替情報についての詳細は、テクニック・マニュアル(ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン1.0のテクニック・マニュアル、http://www.w3.org/TR/WAI-WEBCONTENT-TECHS/)で解説している。
オーディオ情報の代替フォーマットとしては、テキスト・トランスクリプトがある。テキスト・トランスクリプトの記述内容には、話し言葉だけでなく効果音の説明なども含まれる。キャプションとは、ビデオクリップのように影像とオーディオを同期化したコンテンツのオーディオ部分に対して付けるテキスト・トランスクリプトを指す。一般的にキャプションは、ビデオ映像の上に字幕スーパーのような形でビジュアル表現され、耳の聞こえない人や難聴の人、まわりがうるさい場所にいるなどで音を聞き取れない人に役立つ。照合テキスト・トランスクリプトとは、ビデオで表現された動作や影像、場面変更などの説明を、テキストで記述してキャプションに加えたものを指す。これら各種の代替テキストを利用すれば、耳の聞こえない人や目の見えない人、ムービーやアニメーションを再生できない人などにも、アクセシブルなプレゼンテーションを提供できる。また、代替テキストによる情報は、サーチエンジンでも検索可能になる。
非テキスト系の代替形式の例としては、プレゼンテーションのなかの主要なビジュアル要素を音声記述したものなどがある。人の声を録音する、または人工音声(録音されたもの、あるいは、プレゼンテーションの進行中に合成されるもの)を使用する方法がある。音声記述は、通常はオーディオ・トラックに入っている自然な間合いの部分に挿入するように、オーディオ・トラックと同期化させて用いる。音声記述には、登場人物の動作や、影像、場面転換などの情報も含まれる。
グラフィックを使った表現のこと。
イメージを複数の領域に分け、それぞれの領域に関連した何らかのアクションが起こるようにした機能のこと。アクティブ領域をクリックすると、アクションを起こす。ユーザがクライアント・サイドのイメージマップのアクティブ領域をクリックすると、ユーザ・エージェントはどの領域がクリックされたのかを判断し、その領域と関連づけられたリンク先に移動する。サーバ・サイドのイメージマップのアクティブ領域をクリックすると、クリックした座標がサーバに送られ、そこでアクションが実行される。
クライアント・サイドのイメージマップをアクセシブルにするには、イメージマップ領域に関連づけられたリンク先へ、機器に依存しないデバイス・インディペンデントな方法でもアクセスできるようにしておく。
クライアント・サイドのイメージマップを使えば、ユーザ・エージェントは、ポインタがアクティブ領域にあるかどうかを、ユーザに即座にフィードバックできる。
ドキュメントにある情報を理解することが、ドキュメントそのものを理解するために欠かせない場合、その情報は重要だといえる。
セルのコンテンツを(たとえば、ページの下に向かって)パラグラフの連続となるように並べていくような、テーブルの処理プロセス。パラグラフは、ドキュメント・ソースでセルが定義されているのと同じ順序で並べられる。直線化した後でもページの意味が分かるように、定義した順序でセルを読みあげた場合に意味が通じるようにしておく。また、セルには、パラグラフやヘッダ、リストなどを作成する構造要素を付けておく。
リンクの内容を表現したテキスト・コンテンツ。
話す、書く、あるいは身振りなどによって表現される言葉。フランス語や日本語、手話や点字などはすべて、自然言語だ。コンテンツの自然言語は、HTMLではlang属性で(HTML 4.0セクション8.1、HTML 4.0推奨はhttp://www.w3.org/TR/1998/REC-html40-19980424、HTML 4.0最新バージョンはhttp://www.w3.org/TR/REC-html40)、XMLではxml:lang(拡張マークアップ言語1.0セクション2.12、XML 1.0推奨はhttp://www.w3.org/TR/1998/REC-xml-19980210、XML 1.0最新バージョンはhttp://www.w3.org/TR/REC-xml)で指定できる。
ページやサイトをナビゲートするためのあらゆる手段のこと。典型的なメカニズムには、次のようなものがある。
・ナビゲーション・バー
ドキュメントやサイトのなかで最も重要なリンクを集めたもの。
・サイトマップ
ページやサイトの全体的な構成を表したもの。
・目次
一般的に目次とは、ドキュメントのなかで最も重要なセクションのリストを指す。該当セクションへのリンクを設けている場合もある。
小型でポータブルなコンピュータ機器。ほとんどのPDAは、スケジュール、住所録、Eメールといった個人情報の管理に使われている。一般的にPDAは、小型スクリーンの付いた手のひらサイズのデバイスで、さまざまなソースから情報を取り込むことができる。
表示を見やすくするために、スクリーンの一部を拡大表示するソフトウェア・プログラム。主に視力の弱い人が使用している。
モニターに表示されたコンテンツを音読するソフトウェア・プログラム。通常、テキストとして表示されている情報は読みあげるが、イメージとして表示された文字情報は読むことができない。主に目の見えない人が使用している。
スタイルシートとは、ドキュメントのプレゼンテーションを指定する構文の集合のこと。スタイルシートには、コンテンツ・プロバイダが書いたもの、ユーザが作成したもの、ユーザ・エージェントに組み込まれているものの3種類がある。CSS(カスケーディング・スタイル・シート、CSSレベル2推奨はhttp://www.w3.org/TR/1998/REC-CSS2-19980512、CSS最新バージョンはhttp://www.w3.org/TR/REC-CSS2)では、この3つスタイルシートが相互作用し合うことを、カスケードと呼ぶ。
プレゼンテーション・マークアップとは、HTMLのB、I要素のように、構造よりもスタイルに効果を与えるマークアップを指す。STRONG、EM要素は、特定のフォントと関連しない情報を指定するため、プレゼンテーション・マークアップとは見なされない。
テキスト、数字、イメージといったデータ間の論理関係を表現するためにテーブルが使用されている場合、このような情報を「タブラー情報」と呼び、テーブルを「データ・テーブル」と呼ぶ。テーブルによって表現された関係性は、通常、2次元グリッドのようなビジュアルで表現されるが、セルの直前に置かれたヘッダ情報とともに音声で表現されたり、その他の形式で表現されることもある。
ほとんどのチェックポイントでは、ページやサイトのアクセシビリティを保証するよう、コンテンツ開発者に要請してきた。しかし、アクセシビリティ問題のなかには、ユーザ・エージェント(支援技術を含む)側で対処したほうが適切なニーズもある。このガイドラインが発行された時点では、すべてのユーザ・エージェントや支援技術が、ユーザが必要とするアクセシビリティの操作手段を提供できているわけではない。たとえば、ユーザ・エージェントによっては、コンテンツの点滅をオフにできなかったり、スクリーン・リーダーのなかには、テーブル情報をうまく処理できないものがある。「ユーザ・エージェントが〜するまで」というフレーズを含むチェックポイントでは、必要とされるアクセシビリティ関連機能をほとんどのユーザ・エージェントがサポートするようになるまで、コンテンツ開発者に対してアクセシビリティのさらなるサポートを要請している。
注意:W3C WAI(ワールドワイド・ウェブ・コンソーシアムのウェブ・アクセシビリティ・イニシアティブ)のウェブサイト(http://www.w3.org/WAI/Resources/WAI-UA-Support)で、アクセシビリティ関連機能に対するユーザ・エージェントのサポート状況を提供している。コンテンツ開発者はこのページを定期的に参照し、情報のアップデートに努めてほしい。
ウェブ・コンテンツにアクセスするためのソフトウェア。デスクトップ・グラフィック・ブラウザ、テキスト・ブラウザ、音声操作ブラウザ、携帯電話、マルチメディア・プレイヤ、プラグインなど。スクリーン・リーダーやスクリーン拡大ソフト、音声認識ソフトなどと併用される支援技術も含まれる。
注意:このドキュメントは、W3Cが勧告として公開している「Web Content Accessibility Guidelines 1.0」を株式会社アスキーが書籍「ウェブ・アクセシビリティ〜すべての人に優しいウェブ・デザイン」にて日本語訳したものです。正式な文書はあくまで英語版であり、この文書には翻訳上の間違いや不適切な表現が含まれている可能性がありますのでご注意ください。