W3C/WAI「ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン 1.0」

 
概要 - ガイドライン:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 - 付録:A B - 謝辞 - リファレンス
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注意:このドキュメントは、W3Cが勧告として公開している「Web Content Accessibility Guidelines 1.0」を株式会社アスキーが書籍「ウェブ・アクセシビリティ〜すべての人に優しいウェブ・デザイン」にて日本語訳したものです。正式な文書はあくまで英語版であり、この文書には翻訳上の間違いや不適切な表現が含まれている可能性がありますのでご注意ください。

W3C推奨―1999年5月5日

このガイドラインの最新バージョンは、http://www.w3.org/TR/WAI-WEBCONTENTからダウンロードできる。

編集者:
ウィスコンシン大学マディソン校トレース研究開発センター(http://www.tracecenter.org/)のウェンディ・シソルム氏、グレッグ・バンダーハイデン氏、W3C(http://www.w3.org/)のイアン・ジェイコブズ氏

Copyright (c) 1999 W3C (MIT, INRIA, Keio), All Rights Reserved. W3C liability, trademark, document use and software licensing rules apply.
このドキュメントにおけるすべての著作権は、マサチューセッツ工科大学(http://www.lcs.mit.edu/)、フランス国立情報処理自動化研究所(http://www.inria.fr/)、慶應義塾大学(http://www.keio.ac.jp/)が保有する。
このドキュメントには、W3Cの免責事項と商標(http://www.w3.org/Consortium/Legal/ipr-notice-20000612)、ドキュメント利用許諸(http://www.w3.org/Consortium/Legal/copyright-documents-19990405)、ソフトウェア・ライセンス権(http://www.w3.org/Consortium/Legal/copyright-software-19980720)に示される規定が適応される。

概要

このガイドラインは、障害のある人にとってアクセシブルなウェブ・コンテンツを作成する方法を解説している。コンテンツ開発者(ページオーサーやデザイナーなども含む)やオーサリング・ツール開発者すべてを対象に書かれたものであり、そのおもな目的は、アクセシビリティの確立だ。しかし、このガイドラインに則って開発されたコンテンツは、障害のある人だけを対象としたものではなく、使用するユーザ・エージェントの形態(デスクトップ・ブラウザ、音声操作ブラウザ、携帯電話、車載PCなど)を問わず、また、ユーザがウェブを使っている環境(まわりがうるさい場所、暗い場所、明るい場所、手がふさがっている状態かどうか、など)にも左右されず、すべてのユーザが使うことができる。また、このガイドラインは、ユーザにとって情報を見つけやすいウェブサイトを作るうえでも効果的だ。イメージやビデオクリップの使用に反対するのではなく、どうやったらより多くのユーザにとってアクセシブルなマルチメディア・コンテンツを作れるかを論ずるのが、このガイドラインの狙いだ。

このガイドラインは、アクセシビリティの原則やデザインの考え方のレファレンスとなっている。紹介される方法論には、ウェブの国際化やモバイル機器での利用に関係した方法論もある。しかし、目的はあくまでアクセシビリティであって、W3C(ワールドワイド・ウェブ・コンソーシアム)が進める他分野での活動を完全に紹介するものではない。国際化とモバイル機器については、W3Cの国際化活動(http://www.w3.org/International/)と、モバイル・アクセス活動(http://www.w3.org/Mobile/)のウェブページを参照してほしい。

恒久的なガイドラインとするため、このドキュメントでは、個別のテクノロジーに対応するブラウザ・サポートなど、変化のめまぐるしい特定情報には触れていない。それら情報については、WAI(ウェブ・アクセシビリティ・イニシアティブ)のサイトにある該当ページ(http://www.w3.org/WAI/Resources/WAI-UA-Support)を参照してほしい。
また、このドキュメントにはチェックリストがあり、トピックと優先順位によってチェックポイントを整理できるようになっている。トピックには、イメージ、マルチメディア、テーブル、フレーム、フォーム、スクリプトなどが含まれている。チェックリストは、チェックポイントを表形式にしてまとめたもの(http://www.w3.org/TR/1999/WAI-WEBCONTENT-19990505/full-checklist.html)と、テキストをリスト形式にしたもの(http://www.w3.org/TR/1999/WAI-WEBCONTENT-19990505/checkpoint-list.html)の2種類が利用できる。

また、このガイドラインとは別に、ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン1.0のテクニック・マニュアル(http://www.w3.org/TR/WAI-WEBCONTENT-TECHS/)というドキュメントもある。これは、このガイドラインで述べられたチェックポイントの実践テクニックを解説したものだ。HTML(ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ)、CSS(カスケーディング・スタイルシート)、SMIL(シンクロナイズド・マルチメディア・インテグレーション・ランゲージ)、MathML(マセマティカル・マークアップ・ランゲージ)を使って、それぞれのチェックポイントを実現する方法を説明している。また、ドキュメントのバリデーションやテスティング・テクニックのほか、HTMLの要素や属性とその使用法に関する索引も含まれている。テクニック・マニュアルのドキュメントは、技術的な変更点を随時反映していくという前提で作られており、ガイドラインに比べて更新頻度は高くなる予定だ。

注意:ブラウザやマルチメディア・ツールによっては、このガイドラインで説明されている機能をサポートしていない場合もあることに注意してほしい。とくに、HTML 4.0やCSS1、CSS2の新機能は、その可能性が高い。

ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン1.0は、WAIが発行した一連のガイドラインの一部である。その他のガイドラインには、ユーザ・エージェント・アクセシビリティ・ガイドライン(http://www.w3.org/TR/WAI-USERAGENT/)やオーサリング・ツール・アクセシビリティ・ガイドライン(http://www.w3.org/TR/WAI-AUTOOLS/)などがある。

このドキュメントの現状

このドキュメントは、W3Cのメンバーやその他の専門家などによってレビューされ、W3Cの正式な推奨ガイドラインに認定されている。恒久的にレファレンスとして使えるドキュメントであり、ほかのドキュメントのなかで規範的なレファレンスとして引用される可能性もある。W3Cで推奨ガイドラインを開発する狙いは、ガイドラインの内容に対する関心を高め、普及を図ることにある。これにより、ウェブの機能性と普遍性が向上するとW3Cでは考えている。

このドキュメントの英語版は、規範バージョンという位置づけになっている。他言語のバージョンは、http://www.w3.org/WAI/GL/WAI-WEBCONTENT-TRANSLATIONSで入手できる。

このドキュメントで見つかった誤りは、http://www.w3.org/WAI/GL/WAI-WEBCONTENT-ERRATAにリストアップされている。また、誤りが見つかった場合は、wai-wcag-editor@w3.orgまでご一報いただきたい。

最新のW3C推奨、その他のテクニカル・ドキュメントは、http://www.w3.org/TRにリストアップされている。

このドキュメントは、W3C WAIの活動の一環として作成されている。ウェブ・コンテンツ・ガイドライン作業部会が目指す目標については、作業部会宣言(http://www.w3.org/WAI/GL/new-charter.html)に記されている。

目次

概要
このドキュメントの現状
1. イントロダクション
2. アクセシブルなデザインのテーマ
 2.1 あらゆる形態の出力形式にスムーズに変換できるコンテンツを作成する
 2.2 分かりやすくナビゲートしやすいコンテンツを作成する
3. ガイドラインの構成
 3.1ドキュメントの規約
4. 優先順位
5. 適合性
6. ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン
 1. 音声およびビジュアルのコンテンツは、代替形式も提供する
 2. 色だけに頼らない
 3. 適切なマークアップとスタイルシート使用する
 4. 使っている言葉を分かりやすく説明する
 5. テーブルは正しい用途で利用する
 6. 新しいテクノロジーを使う場合は、代替形式を提供する
 7. 応答時間や表示時間に制限があるコンテンツは、ユーザが時間設定を変えられるようにする
 8. サイトに埋め込まれたオブジェクトのアクセシビリティを確認する
 9. ユーザ使用のハードウェアの種類にかかわらずアクセシビリティがあるようにデザインする
 10. 暫定的なソリューションを利用する
 11. W3Cが推奨するテクノロジーとガイドラインを使用する
 12. ページや要素の位置づけを示す情報を提供する
 13. 分かりやすいナビゲーションを実現する
 14. ドキュメントは明瞭でシンプルなものにする
付録A. バリデーション
付録B. 用語解説
謝辞
リファレンス

このドキュメントには、チェックリストを設けてある。チェックポイントを表形式にしてまとめたもの (http://www.w3.org/TR/1999/WAI-WEBCONTENT-19990505/full-checklist.html)と、テキストをリスト形式にしたもの(http://www.w3.org/TR/1999/WAI-WEBCONTENT-19990505/checkpoint-list.html)の2種類が利用できる。

1. はじめに

ウェブデザインに関するアクセシビリティ問題について、あまり詳しくない人もいるだろう。そういう人たちはぜひ、自分とはまったく違った状況でウェブをブラウズしているユーザが大勢いるということを考えてみてほしい。

ウェブをデザインする際に、コンテンツ開発者はこういった異なる状況を想定しなければならない。考慮すべき状況はいくつもあるが、アクセシブルなデザイン設計をしておけば、さまざまな障害のある人たちに同時に恩恵を与えることがでォる。それだけでなく、アクセシブルなデザイン設計は、ウェブを利用する一般の人たちの利益にもつながる。例を挙げれば、フォントの種類を指定する場合、FONT要素を使う代わりにスタイルシートを利用すればいい。こうすれば、HTML制作者は、複数にわたるページを指定しやすくなるし、視力の弱い人にとってもアクセシブルなページになる。

また、この方法だと、複数のページにわたってスタイルシートを共有することになるため、結果として、すべてのユーザに対してダウンロード時間の短縮という恩恵をもたらすことになる。

このガイドラインでは、こういったフォント指定の例ように、障害のあるユーザにとって問題となる典型的な事例を取りあげながら、アクセシビリティ問題について解説し、アクセシブルなデザインの実現に向けたソリューションを提供していく。たとえば、ウェブサイトに使うイメージをアクセシブルにするために、コンテンツ開発者はどうすべきかを説明している。イメージを見ることができないユーザもいるし、画像表示機能のないテキストベースのブラウザを使用しているユーザもいる。あるいはユーザ自身が、インターネットの接続速度が遅いなどの理由から、画像表示機能をオフにしているかもしれない。ここではなにも、アクセシビリティの向上のために、イメージの使用を控えるべきだと言っているわけではない。使用するイメージに代替テキストを提供することによって、アクセシブルなウェブサイトが実現できることを説明している。

では、代替テキストを提供すれば、どのようにイメージがアクセシブルになるのか? この問いについては、「代替」であるということと、「テキスト」であるということの2点が重要になる。

代替テキストの使用は、障害のあるユーザに対してだけでなく、すべてのユーザにとっても恩恵をもたらすことを特筆しておきたい。サーチエンジンでは、ページ・インデックスを表示する際、代替テキストを利用するため、検索がスピードアップできる。

コンテンツ開発者は、イメージやその他のマルチメディア・コンテンツに対して代替テキストを提供すべきだが、ユーザへの情報提示に関する責任は、ユーザ・エージェント(ブラウザのほか、スクリーン・リーダーや点字表示機といった支援技術)にゆだねられる。

テキストと同等の役割を果たす非テキスト系の代替形式(アイコン、録音スピーチ、手話通訳のビデオなど)を利用すれば、知覚障害や学習障害、耳の聞こえない人など、書かれたテキストを認識するのが困難な人に対して、アクセシブルなドキュメントを提供できる。これは、読み書きの苦手な子どもや文章を読むのが困難な人にも役立つ。ビジュアル情報に対する非テキスト系代替形式の例としては、オーディオ記述が挙げられる。マルチメディア・プレゼンテーションのビジュアル・トラックに関するオーディオ記述などは、ビジュアル情報を得ることができない人にとって有益だ。

アクセシブルなデザインのテーマ

このガイドラインは、スムーズな変換と、分かりやすくナビゲートしやすいコンテンツの作成、という2つの基本テーマについて解説している。

2.1 あらゆる形態の出力形式にスムーズに変換できるコンテンツの作成

このガイドラインに従えば、コンテンツ開発者は、あらゆる形態の出力形式(人工音声、点字など)にスムーズに変換できるページを作成できる。身体機能障害、感覚障害、知覚障害などの障害があるユーザ、テクノロジーに関連するバリア、作業環境の違いによって起こる各種の問題など、さまざまな制約については、「はじめに」の部分で述べてきた。しかし、あらゆる出力形式に変換できるページであれば、これらの制約にかかわらず、あらゆるユーザ環境の下でアクセシブルになる。以下に、そうしたページを作成するためのキーポイントを紹介しよう。

あらゆる出力形式へのスムーズな変換については、おもにウェブ・コンテンツ・ガイドラインの項目1〜11で説明している。

2.2 分かりやすくナビゲートしやすいコンテンツの作成

コンテンツ開発者は、分かりやすくナビゲートしやすいコンテンツを作成すべきだ。これは単に、使っている言葉を分かりやすくシンプルにすればいいというわけではない。ページ内および各ページ間をナビゲートする際に、分かりやすいメカニズムを提供することにも留意しなければならない。ナビゲーション・ツールやオリエンテーション情報をページに挿入すれば、アクセシビリティとユーザビリティを最大限に高めることができる。イメージマップやスクロール・バー、フレームを並べる表示方法、グラフィックを使ったガイド方法など、こういった視覚的な合図は、だれもが利用できるとは限らない。また、人工音声や点字を利用しているユーザは、1度に1語ずつしかアクセスできないし、小型モニターや拡大表示モニターを使用しているユーザは、1度にページの1部分にしかアクセスできない。このように、ページを部分的にしか見ることができないユーザは、前後関係や文脈など見失いがちだ。サイズの大きなテーブルやリスト、メニューなども、オリエンテーション情報なしでは理解できない可能性がある。

分かりやすくナビゲートしやすいコンテンツ制作については、おもにガイドラインの項目12〜14で述べている。

ガイドラインの構成

このドキュメントは、14項目のガイドラインから構成され、アクセシブルなデザインのための基本原理について述べている。それぞれのガイドラインには、以下の項目が含まれている。

各ガイドラインにあるチェックポイントの定義では、典型的なコンテンツ制作の過程において、どのようにガイドラインを適用すればいいかを解説している。チェックポイント定義には、以下の項目が含まれている。

チェックポイントでは、サイトやページがチェックポイントを満たしているかどうかを確認できるように、さまざまな状況を想定し、十分な具体例を交えて説明するよう配慮している。

3.1 ドキュメントの規約

このドキュメントでは、以下の編集規約を適用している。

4. 優先度

チェックポイントには、アクセシビリティに与える影響の大きさによって、作業部会が優先度を割り当てている。

[優先度1]
コンテンツ開発者は、このチェックポイントを満たさなければならない。そうでないと、ドキュメント情報にアクセスできないユーザが出てくる。このチェックポイントを満たすことは、障害のある人など特定のユーザが、ウェブを利用するための基本的要件となる。

[優先度2]
コンテンツ開発者は、このチェックポイントを満たすべきである。そうでないと、ドキュメント情報にアクセスするのが困難なユーザが出てくる。このチェックポイントを満たせば、ウェブにアクセスする際に発生する重大なバリアを取り除くことになる。

[優先度3]
コンテンツ開発者は、このチェックポイントに取り組むことが望ましい。そうでないと、ドキュメント情報にアクセスする際に、多少困難を伴うユーザが出てくる。このチェックポイントを満たすことは、ウェブのアクセシビリティ向上につながる。

チェックポイントのなかには、特定の状況下では優先度が変動するものもある。その場合は、その旨を記している。

5. 適合性

このガイドラインに対する適合性は、次に示す3つのレベルが定義されている。

注:適合レベルの名称は、音声に変換した場合でも理解しやすいように、「AAA」ではなく「トリプルA」のように表記している。

このガイドラインにどの程度適合したドキュメントかをウェブページで示す際は、次の2つの形式のいずれかを使用すること。

形式1:
次の事項をすべて明記する。

形式1の例

このページは、W3Cが推奨する「ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン1.0」(http://www.w3.org/TR/1999/WAI-WEBCONTENT-19990505)の適合レベル「ダブルA」に該当しています。

形式2:
適合性を示す各ページに、W3Cが提供する3種類のアイコンのうちのいずれかを表示し、適合レベルを説明するW3Cのページにリンクさせる。アイコンやページへの挿入方法についての詳細は、ウェブサイト(http://www.w3.org/WAI/WCAG1-Conformance.html)を参照してほしい。


注意:このドキュメントは、W3Cが勧告として公開している「Web Content Accessibility Guidelines 1.0」を株式会社アスキーが書籍「ウェブ・アクセシビリティ〜すべての人に優しいウェブ・デザイン」にて日本語訳したものです。正式な文書はあくまで英語版であり、この文書には翻訳上の間違いや不適切な表現が含まれている可能性がありますのでご注意ください。

 
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